草薙の研究ログ

英語の先生をやってます。

関係の数と三角数

2人いれば,2人の関係は1つ。3人いれば3つの関係。4人いれば6個の関係,5人いれば10の関係がある。
総当たり戦の数もいっしょ。2人いれば1試合,3人いれば3試合,4人いれば6試合,5人いれば10試合だ。
これを数列だと考えると,

 0, 0, 1, 3, 6, 10, 15 ....

という見たことあるような数列。今週奇しくも2回出会った。
これは,三角数に似ている。三角数は,

 0, 1, 3, 6, 10, 15, 21...

だから,三角数より一個ずれているみたい。三角数 T_nとすると, T_n = \frac {n(n+1)} {2}なので,この数列(を a_nとすると)は, a_n = \frac {n(n-1)}{2}ということ。もっとわかりやすくすると, T_n = a_{n+1}というかんじ。

入試問題などにも出るみたい。階差数列の単純な問題として。

関係の数,というとなんか曖昧なんだけど,グラフ理論を考えると視覚的にわかりやすい。無向グラフ G = (V, E)があって,Vの要素数nのとき,このグラフが完全グラフになるEの要素数がこの数列。

f:id:kusanagik:20190526110152p:plain

三角数との関係は,完全グラフの隣接行列を考えるとピンとくる。三角数の定義通り,辺の中にある点が同じ正方形になっていて,その和がエッジ数であることがわかるし,増えていく列の中にある1の数が n-1になってることから,階差数列であることもわかる。

 |A_2| = \left|
    \begin{array}{cc}
      0 & 1\\
      1 &  0\\
    \end{array}   \right|

 |A_3| = \left|
    \begin{array}{ccc}
      0 & 1 &1\\
      1 & 0 &1\\
      1 & 1 &0\\
    \end{array}   \right|

 |A_4| = \left|
    \begin{array}{ccc}
      0 & 1 &1&1\\
      1 & 0 &1&1\\
      1 & 1 &0&1\\
      1 & 1 &1&0\\
    \end{array}   \right|

 |A_5| = \left|
    \begin{array}{ccc}
      0 & 1 &1&1&1\\
      1 & 0 &1&1&1\\
      1 & 1 &0&1&1\\
      1 & 1 &1&0&1\\
      1 & 1 &1&1&0\\
    \end{array}   \right|


これ,組み合わせと同じ。要素がn個ある集合から,要素を2個選ぶ組み合わせは, _n C_2なので,やはり, _n C_2 =  \frac {n(n-1)}{2}。一般に,三角数の方がメジャーなので, {}_nC_2 = T_{n-1}とするよう。

ちなみに三角数の方は,それこそ無数に色んなところに出てくる。パスカルの三角形の3列目にも出てくる。

オンライン整数辞典という素晴らしいサイトがあって,この数列のページももちろんある。

0, 0,1,3,6,10,15, 21 - OEIS