SATと識別力
識別力が低い項目ばかりのとき、
被験者の(古典的テスト理論的な意味での)正答率と反応時間の中心の相関(普通は負の値)は必然的に小さくなる。
スピードに関わる課題操作が正答率に及ぼす影響も小さくなる。
刺激の条件間で2つの相関に違いがあるとき、まず最初に疑うべきは識別力の違いだ。
また、当て推量パラミタが高い項目ばかりのとき、
被験者の能力値が低い場合は特に正答率と反応時間の相関は小さくなる。
スピードに関わる課題操作が正答率に及ぼす影響も小さくなる。
これまでの前提(前々回のポスト)をまとめると、刺激の要因と時間制限のあるなしの交互作用は刺激の要因間における識別力や当て推量パラミタの違いによるエピフェノ(見かけの現象)に過ぎないかもしれない。というか、古典テスト理論と、正答率と反応時間を同時にモデリングしないことが作り出すエピフェノかもしれない。まずはデータの必然的な数理構造を考えなさいという話だな。
つまり、合わせると、
能力が高い群に困難度が低くく識別力が小さい項目群を受験させるとき(簡単に言えばミスフィットでダメなテスト)、スピードに関わる課題操作が正答率に及ぼす影響が最小化される。このとき当て推量パラミタの影響は比較的小さいはずだ。
能力が低い群に困難度が高く識別力が大きく当て推量パラミタが低い項目群を受験させるとき(まあミスフィットだけどマシなテスト)に逆に最大化されるはずだ。
もはや情報量に一元化したらいいんじゃないかみたいな話だ。
面白いのは、スピードに関わる課題操作の効果が最大化されるような項目(難しい、熟達度で差が大きい、初期状態で難しい)は、暗示的知識として習得が困難だとされる特性にまあまあ一致すること。理論次第だけど。
第二言語習得にこれよくある。間違った方法論や考え方だけど結果オーライみたいな。