私の一日とチャップマン=コルモゴロフ方程式
授業がない日のわたし,たとえば出張のない土日とか,10時から22時まで学校にいるとして,大抵は以下のような状態を自由に遷移している。
- 研究関係のお仕事:論文の執筆,資料・論文・書籍を読む,データ分析,調査・実験の準備,やりたくない査読,共同研究者などへの連絡…
- 事務手続きのお仕事:学内業務の書類,学会等の手続き,各種メール業務など…
- 授業準備のお仕事:教材の準備,評価,学生支援など…
- ネット徘徊:研究に関する情報収集,息抜きなど(SNSはやらない)
- 喫煙休憩:ヘビースモーカーなので欠かせない,食事は抜くことが多い,昼寝はなかなかしない
ほとんどの場合,30分程度で気ままに別の状態にいったりきたりを繰り返している。これは定常性のあるマルコフ連鎖でモデル化できる。遷移確率表は,ざっとこんな感じ。
研究 | 事務作業 | 授業関係 | ネット | 喫煙休憩 | |
研究 |
0.60 | 0.00 | 0.00 | 0.20 | 0.20 |
事務作業 | 0.00 | 0.30 | 0.30 | 0.00 | 0.40 |
授業関係 | 0.00 | 0.30 | 0.30 | 0.10 | 0.30 |
ネット | 0.40 | 0.00 | 0.00 | 0.10 | 0.50 |
喫煙休憩 | 0.50 | 0.20 | 0.20 | 0.10 | 0.00 |
研究に関することをやると,事務や授業関係にはいかず,繰り返しやり続けることが多く,ネットや喫煙をしないと頭が切り替わらない。ネットや喫煙がハブになっている。
問題は,もう少し長期的に見た場合,たとえば,1時間後,90分後,2時間後はどうなっているかということだ。今研究しているのだけど,1時間後,90分後,2時間後はなにをしているのか,または今喫煙しているのだけど,1時間後,90分後,2時間後はなにをしているのか。
これは有名なチャップマン=コルモゴロフ方程式で予測できる。
たとえば2ステップ後(1時間後)の遷移確率表はこうだ。
研究 | 事務作業 | 授業関係 | ネット | 喫煙休憩 | |
研究 | 0.54 | 0.04 | 0.04 | 0.16 | 0.22 |
事務作業 | 0.20 | 0.26 | 0.26 | 0.07 | 0.21 |
授業関係 | 0.19 | 0.24 | 0.24 | 0.07 | 0.26 |
ネット | 0.53 | 0.10 | 0.10 | 0.14 | 0.13 |
喫煙休憩 | 0.34 | 0.12 | 0.12 | 0.13 | 0.29 |
3ステップ後(90分後)の遷移確率表はこうだ。
研究 | 事務作業 | 授業関係 | ネット徘徊 | 喫煙休憩 | |
研究 | 0.50 | 0.07 | 0.07 | 0.15 | 0.22 |
事務作業 | 0.25 | 0.20 | 0.20 | 0.09 | 0.26 |
授業関係 | 0.27 | 0.20 | 0.20 | 0.10 | 0.24 |
ネット徘徊 | 0.44 | 0.09 | 0.09 | 0.14 | 0.25 |
喫煙休憩 | 0.40 | 0.13 | 0.13 | 0.12 | 0.22 |
4ステップ後(120分後)の遷移確率表はこうだ。
研究 | 事務作業 | 授業関係 | ネット | 喫煙休憩 | |
研究 | 0.47 | 0.08 | 0.08 | 0.14 | 0.22 |
事務作業 | 0.32 | 0.17 | 0.17 | 0.11 | 0.24 |
授業関係 | 0.32 | 0.17 | 0.17 | 0.11 | 0.24 |
ネット | 0.44 | 0.10 | 0.10 | 0.14 | 0.22 |
喫煙休憩 | 0.40 | 0.12 | 0.12 | 0.13 | 0.23 |
時間が遅くなれば遅くなるほど,今何しているかにかかわらず,だんだん研究の方に向かっていくようだ(trivial...)。