草薙の研究ログ

英語の先生をやってます。

自分の居場所とラズベリー・パイ(2)

前回までのあらすじ

大学の小さな部屋にある,どでかいワークステーション,デスクトップPC,ThinkPadMacBookといったメジャーなノートPC,そういった電子機器に底知れぬ違和感を覚え始めた私は,自分が生まれた東北の自然,つまり自分の原風景には,シンプルさと複雑さが同時にあったということを思い出し,唐突にも今流行中のラズパイ(Raspberry Piを買えば自分は救われると確信した。これは倒錯に他ならないと気づいていても,私の足は出張の隙間に秋葉原に向かい,ラズパイを早速ゲットしてしまったのだが…

自分の居場所とラズベリー・パイ(1) - 草薙の研究ログ

 

そもそもラズパイってなに?

ラズパイは,簡単にいえば小型で低スペックなコンピュータ。低スペックといっても,モデルによっては,そんなに低スペックではない。たとえば私が買ったRaspberry Pi 2 Model Bは,そのCPUが組み込み機器などでもよく使われるARMアーキテクチャ(Cortex A7),RAMはIG。HDDの代わりにMicroSDカードを挿入する(大体4G以上の容量が必要)。電源は5V,1Aあれば動いてくれる(これなら大抵のモバイルバッテリーでもOK)。ちょっと前のスマフォくらい。

 

www.raspberrypi.org

 

ポートとして,USB×4,LAN,HDMI(miniではない),給電用MicroUSBがついている。大きさは,タバコくらい。もちろんBlutoothとかwifiアダプターはついていない。

こういったミニマルな構成で5,000円くらい。

これに給電がUSBなのでAC電源アダプター,映像はHDMI出力なので(テレビにぶっさせば映るが),まあレガシーになりつつあるVGA変換ケーブルとか給電用のUSBケーブルとかも全部入れてもこれくらいのサイズになる。

 

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OSは,なんでも入れればできるらしいんだけど,基本はDebian系のRaspbianという独自OSを入れればいい。なんていうか,Debian系なので普通のLinux PCとして使える。このOSは,現在,標準的なブラウザとしてChromium,オフィススイートはLibreOfficeなどがプリインストールされているだけでなくて,Pythonなどといったプログラミング言語の開発環境,そしてなんとあの高価なMathematicaの1ヴァージョンがプレインストールされている。なって素晴らしいんだ。あとゲームとしてマイクラ(マインクラフト)も。もともとこのラズパイは子どもの教育用に売られているものだしね。デフォルトのデスクトップ環境がLXDEなので,自分にとっては日頃から使っているLubuntuと一緒。とても気持ちいいじゃないの(UnityなんてLinuxじゃない)。

早速繋いでみた

まあ,OSのインストールとか,設定とかは誰でもできるくらい簡単なので端折るとして,とりあえずこんな感じにつないでいけばOK。まんなかの基盤みたいなのがラズパイの本体。なんてかわいいんだ,こいつ。

 

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電源をいれて,初期設定をすませれば,こんな感じで普通のデスクトップ環境(LXDE)が起動する。別になんの問題もつまづき点もなかった。なんか最近のOSヴァージョンは壁紙がきれいな写真になっているのね。ちょっと簡単すぎて拍子抜け感はある。正直,もっと手懐けるまでCUIで格闘したりするプロセスが欲しい。でも,まあこれは私にとってラズパイデビューなので,いきなり変なことするよりはこれでいいかな。

 

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こんな感じ。素晴らしい。とっても自然な感じがする。これは私を攻撃してこないぞ。そしてなによりもちっちゃかわいいぞぅ,こいつぅ(よだれ)

自分の居場所づくり

基本はいつも使っているLubuntuと同じようにできるのですごく居心地がいい。

とりあえずLibreOfficeとかそういうのはいらない。そういうのは消しておくに限る。Chromiumもいらんちゃいらんけど,なにかのために残しておくとして,さしあたって自分には以下のような設定が必要だった。

日本語入力環境:fcitx-Mozc

なんかいろんな記事で,iBus-MozcとかAnthyをやっているのを見るけど,普通にfcitx-Mozcを入れればいいと思った。OSの表示言語はやはり英語に限る。

sudo apt-get install fcitx-mozc 

 とかやると,普通にfcitx設定とかでてくるので,これでGUIで設定してもいい。fcitxをLXDEでやるとインライン表示がかたつく,っていう症状はよくあるけど,これ普通に直せるよね。自分はUS配列でやっているので,USキーボードとMozcを2つ入れておいて,Ctr(またはAlt)l+`とかを切り替えキーに割り当てればいいね。

エディタ:emacsとgedit

エディタについては,最近はAtomって決めていて,これを入れたいのだけど,多分おもすぎて使いものにはならん。Atomは重い。なので代替案として自分はemacsとgeditを入れた。emacs懐かしい。

sudo apt-get install emacs

sudo apt-get install gedit

そういえば,LXDE環境だから,端末はLXTerminalだけど,gnome-terminalでもいいかなと思って入れてみた。自分好みのemacsの設定だけでも結構時間かかるけど。Markdownはharoopadでもいいかな。

RとPython

普通にインストールできるから入れる。Pythonは最初から入っている。Mathematicaも使えるので,計算関係は十分かな。

テキストブラウザLynx

最近のウェブサイトは重いし,広告がいちいちイラつく現代病なので,去年あたりからテキストブラウザを使っている(スマフォでも)。っていうかこうするとemacsを出ずにブラウジングできるし。古典的だけどLynxを入れた。自分の環境だと,結構文字コードとかはデフォルトで大丈夫だった(utf-8ね)。MacOSLynxやるとなんか文字コード結構めんどいのよね…。そんなことはなかった。

テキストメーラ:alpine

同様の理由で,メーラー雷鳥sylpheedとかもいいけど,ここは敢えてalpineをやる。alpineからgmailを見るようにしている。これでラズパイでメール業務できる。alpineの初期設定だけはちょっと備忘録(参考)。最初だけgmailから怪しげなソフトやめろとか怒られるのね。

smtp-serverにsmtp.gmail.com:587/tls/user=XXXX@gmail.com

inbox-pathに{imap.gmail.com/ssl/user=XXXX@gmail.com}INBOX

Pandoc

Markdownやhtmlを書くことが多いので。これも普通に入れられる。

 

だいたいこれくらいあったら,基本的な作業は一通りできそう。あ,そうだ,解像度はxrandrとかlxrandrとかやる必要もあるし,デフォルトではメディアプレーヤーがないので,audaciousとかVLCとかの定番を入れたりもした。まあでもこれはLinuxのいつもパターン。

 

結局私は救われたのか

救われたかはわからない。でも,大分ストレスはなくなったと思う。この小さいサイズのコンピュータは,私に底知れぬ違和感を与えることはないし,100均の小さい箱に全部突っ込んで運べるし,そしてなにより,ラズパイにあるシンプルさと複雑さ,そしてそれに心を踊らせていた自分を思い出させてくれるという点で,これ以上はない幸せを感じる。予定調和的に,多分私は救われた。

 

(続く)

 

次回,なんと(おそらく日本初)ラズパイで英語の授業を!?